私たち株式会社豆乃木は、フェアトレードを通じて世界各地からコーヒーを運んでいます。
けれど、そのコーヒーの物語は、日本に届いた時点で終わるわけではありません。
むしろ本当の意味での“つづき”は、そこから始まります。
どんな人がそのコーヒーを受け取り、
どんな想いで一杯を淹れ、
どんな空間で、誰に届けているのか。
このシリーズ「物語のつづきをたどる旅」では、
フェアトレードコーヒー豆を使ってお店を営む方々を訪ね、
その先にある“もうひとつの物語”を見つめていきます。
記念すべき第1回は、
愛知県あま市にある
焚人旅人 さんを訪問しました。
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お店に足を踏み入れてまず感じたのは、
ここが単なる「コーヒーを飲む場所」ではないということです。
人が自然と集まり、
会話が生まれ、
それぞれの時間を過ごしている。
店内には、意図的につくられた演出ではなく、
日々の積み重ねからにじみ出るような、穏やかな空気が流れていました。
店主の方との距離感もとても自然で、
必要以上に踏み込まず、かといって突き放すわけでもない。
その絶妙なバランスが、初めて訪れた人にも安心感を与えてくれます。
“地域に愛されるお店”とは、こういう場所のことを言うのかもしれません。
この日いただいたのは、松屋式ドリップで淹れられたコーヒーでした。
松屋式ドリップは、コーヒーの成分をしっかりと抽出する方法でありながら、
驚くほど雑味が少なく、クリアでやわらかな味わいになるのが特徴です。
実際に口に含んでみると、
苦味や酸味が前に出るというよりも、
コーヒーそのものの輪郭がゆっくりと広がっていくような感覚。
一気に飲み干すのではなく、
その余韻ごと味わいたくなる一杯でした。
ここで提供されているのは、単なる飲み物ではなく、
“時間の過ごし方”そのものなのだと感じます。
お店を後にしたあと、
少し足を延ばして
清洲城 を訪れました。
清洲城は、織田信長が天下取りへと動き出した拠点であり、
本能寺の変の後には「清洲会議」が開かれた場所としても知られています。
つまりここは、歴史の大きな転換点を何度も見守ってきた場所です。
川の流れとともに静かに佇む城を前にすると、
時代が変わっても、
人の営みや想いは形を変えながら受け継がれていくのだと感じます。
コーヒーもまた、同じではないでしょうか。
生産者が育て、
私たちが運び、
それを受け取った人が淹れ、
さらにその先の誰かへと届けていく。
一杯のコーヒーには、
いくつもの手と時間が重なり合っています。
そしてその積み重ねが、
やがて「また来たくなる場所」をつくっていく。
フェアトレードとは、単に“公正な取引”という仕組みではなく、
こうした関係性の中で育まれていくものなのかもしれません。
これからも、
コーヒーがつないでいく物語の“つづき”を、
一つひとつ丁寧にたどっていきたいと思います。

