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ブロックチェーンはコーヒーの世界をどう変えるのか

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焙煎翌日便

杉山世子の【ガチ日記】

2020/03/16

ブロックチェーンはコーヒーの世界をどう変えるのか

ブロックチェーンという言葉を聞いたことがありますか。


ブロックチェーン(Blockchain)とは、ビットコイン(Bitcoin)などの仮想通貨(暗号資産)に使用されている基盤技術であり、金融とテクノロジーを融合させたフィンテック(Fintech)業界などで注目を集めている技術のひとつです。しかし最近ではその他の分野でも積極的に活用され始めており、日常生活における様々な取引への応用が進んでいるようです。
と、
これだけを見ると、コーヒーの世界とは今のところ無縁の話のように思えますが、実はそうではありません。すでにブロックチェーンはコーヒーの世界にも出現している技術なのです。

というわけで、今日は「ブロックチェーンとコーヒー」にまつわるいくつかの情報をまとめてみました。


1 IBMがコーヒーのサプライチェーン管理に利用するため、ブロックチェーンを活用したモバイルアプリを発表

アプリの名称は「Thank My Farmer」。内容としては、「コーヒーの産地や品質といった情報をブロックチェーンに記録して管理する。消費者は商品のQRコードを読み取るだけでコーヒーの情報を豆の産地まで追跡することができるようになる」という。また、消費者がコーヒーの産地に資金を提供する機能も搭載できる。
現在のシステムでは、豆の生産から、コーヒーが消費者の手に渡るまでのプロセスを追跡するのは非常に困難だ。豆の生産者、輸出業者から輸送業者、さらに販売する小売店など仲介者が多く、追跡できる情報が断片的であることが問題になっている。
この問題を解決するため、ブロックチェーンに情報を記録し、コーヒー豆の農場から消費者までを1つにつなぐ。ブロックチェーンの特長を活かし、永久に改ざんされずに情報を保存することができ、全てのネットワーク参加者がリアルタイムで情報にアクセスできるようになる。

本アプリは2020年の早い段階でローンチされる予定。米国、カナダ、欧州からサービスを開始し、規模を拡大していく。大手から中小企業まで幅広く参加者を増やす予定だ。

との記事

これには、大手総合商社である伊藤忠商事も参画している。


2 伊藤忠商事 ブロックチェーンを利用したコーヒートレーサビリティープラットフォーム「FARMER CONNECT」への参画を発表

大手総合商社である伊藤忠商事は19日、ブロックチェーンを利用したコーヒートレーサビリティープラットフォーム「FARMER CONNECT」への参画を発表した。

日本の輸入コーヒー豆の約3分の1を取り扱う伊藤忠商事のほか、米大手JMスマッカーなど世界的なコーヒー取扱業者7社が参画しており、参加企業のコーヒー製品の取扱量は世界全体の3割前後にのぼる。

コーヒー豆のサプライチェーンは、木を植えて育てるところから最終的に焙煎するまで複雑な過程があり、またこの過程に関わる仲介業者の数も多い。これまでは、これらの業者はそれぞれ個別に情報を追跡しているため、非効率かつ不透明という問題点があった。

そこでブロックチェーン技術を使い、生産地や生産者、収穫日、豆の輸出入日、焙煎業者や焙煎日などの履歴を包括的に管理することで、高い効率性と透明性を実現する。


というのがこちらの記事
取引に関してかなりの透明性を持って接していると自負している豆乃木ですが、取引のあるマヤビニック生産者協同組合の農家さんひとりひとりと接することは物理的に難しく、ロットごとに生産者や収穫日がわかるようになれば確かにもっともっと農家さんのことを身近に感じられるはず。
でも一瞬にして思うことは、ネット環境と通信端末が揃っていることが前提のこのサービスは、受益者がすでに限られており、置き去りにされる生産者も出てくるでしょう。

記事では、

アプリケーションは開発中であるが、例えばコーヒー製品に記載した「QRコード」を読み取ることで、消費者が製品に至るまでの履歴を把握したり、生産者に直接、感謝の気持ちを込めてチップ等の報酬を送ることも可能になるという。FARMER CONNECTの運営会社であるFarmer Connect SA社の報道によれば、農家にとってもコーヒー豆生産と支払いの記録が残るため、それを「信用力」とした銀行取引が可能になる。

私も毎年メキシコに送金をしていますが、毎回、高い手数料を取られ、よくわからない情報をたくさん入力し、「合っているのか」「送れるのか」とハラハラしながら送っています(実際、生産者組合から送られる情報が間違っていることもあって、送金のやり直し、はい、手数料もう1回かかりますよ、なんてこともある)。なので、アプリで簡単に送金ができたら、すごく便利。それに、心づけを送れるのも、気が利いている。

3 スタバ、ブロックチェーンで「コーヒー豆」の生産情報を管理|Microsoftと協力

Starbucks(スターバックス)が、コーヒーの生産などに関する情報をブロックチェーンで追跡できるようにするために「Microsoft(マイクロソフト)」が提供する「Azure Blockchain Service」を活用したプラットフォームを構築していることが、2019年5月6日にニュースサイト「Geekwire」の報道で明らかになりました。2018年3月にコロンビア・コスタリカ・ルワンダの農民たちと協力して、ブロックチェーンでコーヒーのサプライチェーンを追跡する「Bean to Cup(ビーン・トゥー・カップ)」と呼ばれるプロジェクトを発表しました。

このプロジェクトは「コーヒーを飲む人々」と「コーヒーの生産者」を結びつけることを目的としていると説明されており、クライアントは自分たちのコーヒー生産量を追跡することができると説明されています。

さらに、「機械学習を使用して顧客の好みを収集すること」や「店舗内のコーヒーメーカーをインターネットに接続してコーヒーの情報をブロックチェーンで追跡できるようにすること」などといった様々なことにスターバックスとマイクロソフトが取り組んでいるとのことです。


4 ウガンダでの運用

コーヒー産地での運用については、このような記事がありました。この記事によると、

ウガンダのコーヒーブランドである「CaricoCaféConnoisseur」は、自社製品の生産・流通過程に透明性をもたらすためにブロックチェーン技術を使用することを決定しました。これは顧客からの新たな要望を満たすために決定されたことだと説明されています。

同社によると、消費者の人々は「自分たちが消費する製品に関する情報をより詳しく知りたい」と考えているとのことで、そのような人々は"製品情報を追跡することができる商品や食べ物であれば、今まで以上に多くのお金を払っても構わない"と感じていると伝えられています。

「CaricoCaféConnoisseur」はこのような要望に応えるために、ブロックチェーン技術を用いてコーヒーの植え付けから収穫、出荷、そして店舗に届くまでの情報を記録し、それらの情報を消費者の人々と共有しています。ブロックチェーン上で情報管理を行うことによって、データ改ざんの可能性を限りなく抑え、透明性をもたらすことができます。

この「ブロックチェーン認証システム」を採用している製品の購入者は、スマートフォンでコーヒー製品のパッケージにプリントされている「QRコード」をスキャンすることによって、製品の履歴を簡単に確認することができます。

同社のCEOであるMwambu Wanendeya氏は、国内初のブロックチェーン認証製品である「Bugisu Blue」が昨年12月に南アフリカで販売されたことを報告しています。

ウガンダはコーヒーの生産量で世界トップ10に入るほどのコーヒー輸出国であり、高品質なコーヒー豆を生産していることでも知られています。ブロックチェーン技術でそれらの生産・流通情報に透明性をもたらすことによって「CaricoCaféConnoisseur」のコーヒー豆はより多くの人々に愛されていくことでしょう。

 

5 実際の運用のイメージ

一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)は10月31日、第2回トレーサビリティ部会を開催し、その中で、コーヒー生産地にてブロックチェーンを活用した新たなトレーサビリティを導入する米国Yave.io Product Management社Co Founder(共同創業者)のKai Chang氏を招き、ブロックチェーンによるコーヒー豆のサプライチェーンにおける生産履歴管理についての発表があった。詳しいレポートはこちらをご覧いただけます。

イベントレポート:
コーヒーの輸出入にブロックチェーン活用のトレーサビリティを導入
農園からカフェまで生産履歴管理でフェアトレード実現、BCCCトレーサビリティ部会
https://crypto.watch.impress.co.jp/docs/event/1151732.html

このレポートがとても興味深いものだったので、改めて理解を深めた上で、動画で解説をしたいと思います。

まとめ

ブロックチェーンとフェアトレードは親和性が強いはずなのです。簡単に農家さんが操れる端末(おそらくスマホ)があって、日々、記録をしてもらえたら世界のコーヒーがもっと美味しく、もっと「ありがたい」ものになるような気がします。
誰がどうやって作っているのか、その作り手の息吹をしっかりと感じられる技術であれば、大歓迎です。何より、生産者への支払いが可視化されることで、透明性のある取引が可能になるでしょう。とはいえ、これまでマヤビニック生産者協同組合とのやり取りは、ブロックチェーンがなくとも、透明性をもっておこなってきました。彼らも、情報開示を惜しむことはありません。ただ、協同組合の特性上、農家さんひとりひとりの顔を思い浮かべることができません。この技術によって、もっと彼らひとりひとりの存在を感じられるものであればと願います。