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エルサルバドル編vol.3 旅の終わりに・・・ 

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杉山世子の【海外珈琲紀行】

2018/12/17

エルサルバドル編vol.3 旅の終わりに・・・

2018年12月12日~12月14日までは『杉山世子海外珈琲紀行』でお楽しみください

エルサルバドル編vol.2 ドン・カルロスさんとの出会い』も併せて御覧ください。
 

「彼らのコーヒーを、日本の皆さんに届けたい。」

サン・ラファエルというメキシコ・チアパスの僻地でコーヒー作りに励む27の生産者さん。そして、はじめて訪れたエルサルバドルで出会った、コーヒーが大好きなドン・カルロス。
サン・ラファエルの場合は、村人たちがそれぞれに学び合いながらコーヒー生産を行なっているものの、組織化されているわけではない。カルロスさんに至っては、生産から販売までを行う個人起業家ということになる。

「彼らのコーヒーを、日本の皆さんに届けたい。」

そう思えるコーヒーとまた出合ってしまった。

「コーヒーを買う」理由

フェアトレードは組合化を推奨する。なぜならば、組織化することで、交渉力を持つためだ。地域で切磋琢磨できるからだ。だからといって、豆乃木のコーヒーの購入先が、組合でなければいけないという理由はない。個人がいけないわけでもない。例えば、カルロスさんのコーヒー豆を輸入することで、将来的に、なんらかの裨益が、地域社会にもたらされたり、他のコーヒー生産者の希望になるものであれば、それは有意義だと思う。
しかし、実際に、彼らのコーヒーを直接彼らから輸入するとなると、サン・ラファエルの場合は、誰が窓口になるのか、というロジの問題があるし、カルロスさんの場合は、コンテナに詰められるほどの収量が見込めない。そもそも、誰もかれもが、自分たちのコーヒーを輸出したいと考えているわけではないからだ。
カルロスさんも昔は組合に所属していたという。しかし、あるとき、国内での販売価格よりも、輸出価格の方が下回ってしまったことがあったという。彼はお手製の焙煎機で、焙煎豆の販売までを手掛ける。そちらの方がコーヒー生豆を輸出するよりも、「粗利」が良いのは歴然だ。
ただ、生産量とのバランスで、国内の焙煎豆販売だけでは、生豆が余ってしまう、というのであれば、生豆の輸出も考えられるのだろうが、前述のとおり、カルロスさんのコーヒーだけでは、輸出できるほどに量がまとまらない。(空輸であれば、実現可能だが、その場合、自店で1800円~で販売して、ようやく成り立つようなものだろう。残念ながら、豆乃木にはそのような「装備(喫茶のような提供場所)」がない。)

そのときにカルロスさんのような個人起業家のコーヒーをまとめる「組織」が必要になってくる。というのも、カルロスさんのような個人起業家としてコーヒー生産を行う人が、エルサルバドルには多く見られるようだ。逆に、組合や組織化はあまり主流ではないのかもしれない。
ただし、組合化することで、カルロスさんが心を込めて作るコーヒーを「無名化」または「不特定多数のもの」してはいけない。そこに組織化のジレンマがあるのも事実。
フェアトレードが目指すものは、「貧しい生産者が、適正な価格で販売し、自立した生活を目指す」こと。では、ある程度「商品力」を持って自立した生産者は、その先に何を志せばよいのだろうか。そのとき、フェアトレードはどう彼らに寄り添えばよいのだろうか。
そのひとつの答えが「ダイレクトトレード」なのかもしれない。「ダイレクトトレード」とは、高品質なものを生産者から直接買い付けることを言う。

彼らとの出会いに、わたしは突き動かされるものがあった。でも、わたしは立ち止まって、こう自分自身に問う。
「何のために、誰のために彼らのコーヒーを輸入したいのだろうか。」
「それは豆乃木でなければできないことだろうか。」
これまで明文化したことはなかったが、わたしが、コーヒーの買い付け(輸入)をする上で、これは外せないなぁ、と考えている点は次の3つ。

1 継続的に協力して取り組みができるか
2 裨益効果があるか(または自社も含め、特定の人だけに裨益されるものではないこと)
3 日本のお客様に満足していただける品質であり、さらに今後の取り組みの中で、更なる品質向上が期待できるもの

3について、補足すると、すでに完成され、オークションなどで高値で取引が行われるようなコーヒーであれば、豆乃木で買いつける必要はない。工夫を凝らし、努力した特定の生産者のコーヒーは、しっかりと認められるべきであるが、わたしがつながりたいのは、コーヒー生産によって道が開かれることを知らずに、過ごしてきたそれ以外のコーヒー生産者さん。彼らの気持ちを引き上げるような、そんな買い付けができることが理想だ。

「フェアトレード」のその先

いろいろなコーヒーがあっていい。だからこそ、コーヒーはおもしろい。その中で、わたしは敢えて「フェアトレード」という言葉を使って、コーヒーの買い付けを行う。その理由は、彼らとともに「自立」していくことを目指すからだ。豆乃木は、毎年、1コンテナを輸入することで精いっぱいの、吹けば飛ぶような小さな会社だ。でも、こうやって、生活をかけて、コーヒーをつくっている生産者さんたちとのすばらしい出会いがあると、彼らとともに一年一年を重ねていきたいと心から願うようになった。直接購入するのは大前提であり、そこに、共に進むパートナーであるための「Fair」な取り組みを、これからも推進していくだろう。届けたいのは、おいしいコーヒーと、そこにいる「人」の存在なのだ。


サンラファエルは収穫期を迎えている

赤い実だけをひとつひとつ手摘みする。そんな単純に思えることが、徹底されないこともある。根気強く、伝えていくことが大切。

冷涼な産地

12月のこの時期は、フリースを着ていてちょうどよい。この地域は、一年をとおして曇りがちということで、この日も時おり小雨が降った。すると地面がすべりやすくなり、収穫後のコーヒーの実の運搬は、困難を極める。産地は過酷だが、産地でしか感じられないことがたくさんある。