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ニッポン渡りびとVol.5  「質」の判断

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杉山世子の【ニッポン渡りびと】

2018/08/23

ニッポン渡りびとVol.5  「質」の判断

八ヶ岳の小さなホテルに泊まって感じたこと


先日、長野県のお客様を訪ねる際に、遠回りにはなるのですが、八ヶ岳のとあるホテルに宿泊しました。4組限定の宿で、日本一のホテルサービスを提供したいという、情熱あるオーナー夫妻が運営する小さなホテルです。

もともと、楽天の口コミを参考に選んだ宿でしたが、とにかく料理に対する評価が際立っており、美味しいお料理が人生の喜びになっている私は、一瞬で予約を決めました。
楽しみにしていたディナーメニューはシンプルそのもので、

コンソメスープ
天然有頭海老のグリルハーブソース
黒毛和牛ヒレ肉のロースト(オリジナルソース)
高原野菜のサラダ
ロールパンとバゲット
オリジナルケーキ、メロン
コーヒー

というコース料理です。決して華やかさはありませんが、とにかく海老と和牛の質が抜群に良いのです。

今回、「質」をテーマに話をしたいと思いますが、実は毎月受講しているコーヒーのカッピング講習では、当然ながら、一番フォーカスすべきはコーヒーの「質」です。そのため、「質」について考える機会がとにかく増え、何を食するにも、「質」を判断するようにしています。それは食材の質だけではなく、調理方法といった技術的な「質」の判断も必要になります。

私は食べる専門ですので、細かな調理技術はわかりませんが、コーヒーにせよ、料理にせよ、質の良いものには体が反応します。特に触覚(食べ物であれば口当たり)が反応しているように思います。一方で、まだまだ気づけないことの方が多いのですが、意識を集中することで、ほんの少しですが、「どちらが良質か」程度は見ることができてきた、と感じるところもあります。

そういう意味で、今回の「天然有頭海老」の天然だからこその「質」と、「黒毛和牛」だからこそのヒレ肉の「質」の高さには、舌を巻いてしまいました。

正直言って、一杯のコーヒーで感動して涙を流した経験はまだありません。感嘆するコーヒーはありますが、感動という領域にはまだ至っていないのです。それは、提供する側ではなく、受け手である自分の感覚が、追い付いていないということが十分に考えられます。
でも、料理では、稀に興奮を抑えきれないほど、感動させられる一皿があります。静岡和牛をおいしく調理して提供してくださる静岡市のムッシュモイズミさんには、いつも感動をいただいています。
今回も、素材や調理の「質」という面では、感動的でした。しかしながら、まだまだオーナーが本当に表現したかった部分をキャッチできているかというと、そうではないと思うのです。

もっと「本質」が見えるようになりたい。単なる食いしん坊というだけなのですが、コーヒーともども、一生探求したいものが「食」なのかもしれません。