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ハンドピックTimeという名の「反省会」

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News & Columns お知らせ

当社では少量から、フェアトレード及び無農薬栽培された
コーヒー豆を卸売り価格にて販売させていただいております。

セイコ社長の【ガチ日記】

2017/10/26

ハンドピックTimeという名の「反省会」

最後までお読みいただき、ダジャレもハンドピックしてくださいね。

ハンドピックTimeという名の「反省会」

ハンドピックする前のピーベリー(こちらはセスマッチ)

「最近では、ほんとうにハンドピックする必要がなくなった」
という言葉が、心底羨ましく、そして恐怖でもある今日この頃です。

ハンドピックとは、コーヒー豆に含まれている欠点豆を取り除く地道な作業。欠点豆を取り除くことによって、コーヒーの風味がポジティブに変化し、クリーンさが増し、異臭を取り除くこともできるので、とても大切な作業工程なのです。

マヤビニックコーヒーは、まだまだ欠点豆の多いコーヒーです(スクリーンサイズと欠点の含有率を指定しているのですが、なかなか思ったとおりになりません。)原因はさまざま考えられますが、一番は、コーヒーの実を摘んでから、果肉を除去し、乾燥させパーチメントにするまでの一次加工の工程を、各家庭でおこなっているため、品質の均一化がはかりにくいことにあります。(コーヒーができるまでの工程については、「コーヒーができるまで その1」参照)
日本を拠点にしている豆乃木では、700以上ある農家さんを一軒、一軒まわり、サポートすることは不可能に近く、引き続き、生産者組合に対して品質改善を働きかけるとともに、第二次加工工程(「コーヒーができるまで その2」)となる「選別」に重点を置くようシフトしています。

自社の恥をさらすようですが、2017年8月末に入港した新豆は、お客様から今までになくご不安な声をいただくことになりました。
「茶褐色の豆が混入しているけど、大丈夫?」
「虫食いが多く混入しているように思うけど、どうですか?」
と。

実際、何名かのロースターさんには、倉庫から直送させていただいた生豆のサンプルをさらに送り返していただいたり、画像で豆の様子を送っていただいたりと、これまでになく、緊張感のあるシーズンとなりました。

今年の豆が特別に悪いわけではありません。
むしろ、昨年よりも、未成熟豆や死豆が減っているのも事実。でもきっと、日本に入る他の豆が、きれいに選別されていたり、欠点が少ない分、コーヒー生豆に対する見方が変わってきている部分もあるかもしれません。マヤビニックへの「期待」も高まっているからこそだと思います。

「絶対に改善したい。」
今はそんな気持ちで、私自身も「ハンドピックする時間」を持つようにしています。主に、晩御飯を食べたあとが、私の「ハンドピックの時間」です。多い時では2時間、少なくとも30分はハンドピックに時間を割くようにしています。今日、出会った経営をサポートする立場にある方に、「時間の使い方」の大切さをお聞きしたばかりですが、今の私には、きっとこの時間が必要なのだと思います。
それは、ロースターさんの気持ちを感じることでもあり、改善意欲をかきたてる時間でもあります。


そんな中、先日、私はついに「カラーソーティングマシーン(色差選別機)」が日本で手に入るのか、一体いくらくらいする代物なのか、とネットで検索をしました。
調べてみると、実際に生豆販売店でも導入しているところもありました。
今季は、セスマッチのピーベリーに多くの小石が混入する、という「事件」が発覚してから、喉から手が出るほどにカラーソーティングマシーンを「欲しい」と思ったのです。でも、次の瞬間、「それは豆乃木の方向性と違う」と己を諭すのです。


私は、彼らメキシココーヒーの生産者さんたちに、自らのコーヒーの価値を、自らの取り組みで高めていくのが、あるべき道だと思っています。だから、豆乃木に、たとえば潤沢な資本があって、カラーソーティングマシンを導入できる場所や資金があったとしても、そこで品質改善を図りたくない。やっぱり、そこは現場に踏ん張って欲しいし、現場に頑張ってほしい。現場で、改善してこそ、持続的に、コーヒーがおいしくなり、彼ら自身のコーヒーの価値を高め、彼らのモチベーションになるからです。

私は彼らの指導者でもなければ、豆乃木がボランティア団体ではないので、そんなことよりも「良質な豆」「欠点のない豆」をお客様に提供することこそが一番だと思う方もいるかもしれません。それは、本当にそのとおりだけれど、でも勝手ですが、時間がかかってでも、「現場で改善していく」の限りない可能性にかけてみたいのです。それを後々、「先見性」だと言ってもらえるように、今日もハンドドリップをしながら、自らと対話するのです。ほんとうに、コーヒーは、飽くことがない商い(飽きない)です。




追伸

とは言え、ロースターさんには、ご苦労をおかけしてしまうという申し訳ない思いもあります。
メキシコのみんなと品質を向上させていきたい。それが私の切なる願い。そしてそのために、私自身ができることを、今日もハンドピックをしながら、考えたいと思っています。