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豆乃木がなる日 Story of mamenoki 起業後2年

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豆乃木がなる日 Story of mamenoki 起業後2年

こちらは杉山が『みんぱく』という雑誌に「これからの10年」として寄稿した文章です

豆乃木がなる日 Story of mamenoki  起業後2年

マヤビニックコーヒーを販売するに至った経緯

株式会社豆乃木を創業したのは、大学を卒業して半年が過ぎた頃だった。新興国と関わるビジネスを興したいという願望はあったが、ずばりマヤビニックコーヒーを販売するために起業を決意したわけではなかった。そこに至る過程で、マヤビニックコーヒーとの関わりを10年以上に渡って持ち続ける慶應義塾大学山本純一先生から背中を押していただいたことはとても心強かった。さらに、国内の農業従事者が発したある言葉が決定打となった。

 「農家にとって一番嬉しいことは何だと思う。それは、作ったものが掛けた手間に見合った価格で売れる、という単純なことなんだよ。」

この言葉によって、私は、自らがとるべき行動に気づかされた。新興国とのつながりを、支援者という立場に固定するのではなく、生産者のパートナーとして、まずはマヤビニックコーヒーを日本国内で販売しよう、そう決意したのだった。

FTP関係者*、そしてロースター(焙煎業者)を含むお客様の支えをいただき、事業は少しずつではあるが、前に進んでいる。大変有り難いことに、取引をしているロースターは、このコーヒーの風味や持っている個性を評価し、購入し続けてくださっている。それが、フェアトレードであれば、尚よし、という具合に。だからこそ、今では、社会正義に訴えるのではなく、「メキシコ・マヤビニック」というひとつの魅力あるコーヒーを、長く愛されるものとして、お客様の生活に定着されることができるようプロデュースすることを心掛けている。

これからの10年

次の春には、コンテナに詰まったマヤビニックコーヒーの生豆が着港する。消費国のパートナーとして、消費者ニーズを生産地に伝えることで、次の春も、そのまた次の春も、継続して、安定的に取引をすることが、双方の糧となり、信頼関係を高めるだろう。

さらに、近い将来、作り手からダイレクトに届いた豆を、どなたにでも美味しくお召し上がりいただけるような場所(カフェ)を設ける予定だ。マヤビニックコーヒーを口にした人が、その風味に魅せられ、未知の世界に目を向けるきっかけができたのなら・・・。そこから次のアクションが生まれる可能性だって十分にあり得る。そういう連鎖を生み出す場所を、コーヒーをきっかけに日本中・世界中に作っていきたいし、その連鎖を生み出す起点と成り得るポテンシャルが、マヤビニックコーヒーにはあるからこそ、私はそこに情熱を傾けることができるのだ。

10年後、まだ訪れたことのない小さな町で、マヤビニックコーヒーをご愛飲くださっているお客様の姿が、私には見える。それを共に喜び合えるメキシコの生産者の笑顔と共に。

『月刊みんぱく 2013年9月号』

*FTPとは
慶應大学フェアトレードプロジェクトの略称。2003年よりマヤビニック生産者協同組合の支援に関わる