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【メキシコ滞在記 2014年3月】生産者である先住民が抱える翳(メキシコ4日目) 

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杉山世子の【メキシコ滞在記】

2014/03/23

【メキシコ滞在記 2014年3月】生産者である先住民が抱える翳(メキシコ4日目)

2014年3月のメキシコ滞在記(Exblogからの転載です。)

【メキシコ滞在記 2014年3月】生産者である先住民が抱える翳(メキシコ4日目)

「作っている人が自らのコーヒーに誇りを持てるようなブランドに」
そういう思いでマヤビニックの販売に携わっていた私。
でも実際は、マヤビニックのコーヒー生産者の実態は、なにひとつ知らないことに気づきました。

コーヒー農家さんが一体どのような生活を送っているのか、一般的な家族構成(例えば3世代同居とか、大家族とか)はどうなっているのか、生活はこと足りているのか。
ふと我に返ると、なにひとつ、手がかりがありませんでした。

私はマヤビニックという「組合」とたしかに取引をしているけれど、一体誰と仕事をしていたのだろう。
「作っている人が自らのコーヒーに誇りを持てるようなブランドに」
という理念が、ここにきて、ずいぶんと空々しく感じられました。

今回の「訪問」でなかなか思うような結果を得らなかったことは、このような振り返りのきっかけになりました。
かえってよかったのかもしれない・・・

そして、「できればいいな」と思っていた、「生産農家さんの家庭訪問」が、このきっかけで、「どうしてもやりたいこと」に変わりました。

そして幸運なことに、それはマルコスさんという敬虔なカトリック信者の生産者さんによって(そして通訳をしてくださっている伊藤さんのお力を借りて)、叶えることができました。

実は、マルコスさんとは、今日、メキシコ4日目に、2次加工プラントで偶然遭遇。小さな体に、ぱっと明るい笑顔。

「あれ、マルコスさん!?」

と私が声をあげると、

「Si(はい)」

と言うのです。
そう、彼は2年前に訪問した際も、組合長の畑(というか森)を案内し、コーヒーの栽培について丁寧にお話してくださった方。イベントでお馴染みのPOPにもなっているほど!

マルコスさんとの再会によって、今回、「畑からカップまで」の畑を、理解する入り口に立つことができました。

「畑」というのは、何も標高や品種といったスペックの話ではない。作っている人がどのような生活を営み、どのようにコーヒー栽培に関わっているのかその土地の歴史や風俗、文化を含むのだと。少し曖昧だったことが、今回の訪問によって、理解が深まりました。

そこには、「チアパスに住むマヤ先住民」という、ひとつのカテゴリーには収まらぬほどに、多様な思想が入り乱れていました。

その思想とは、特に宗教、政府(国)に対しての立ち位置、立ち向かい方(非暴力を唱える人と、そうではない人)など。
宗教戦争、学生運動とは無縁の「平和な時代」に生まれた私には、想像しても、想像が及ばないほどに、「彼ら」は複雑な事情を抱えていました。

その象徴的な出来事が1997年12月22日、マヤビニック組合の2次加工プラントがある町、アクテアルで起きた、先住民のツォツィル族の妊娠中の女性4人、子供15人をふくむ45人が虐殺された事件です。

この背景には、チアパス州のサパティスタ民族解放軍(EZLN)を支持する先住民と、当時の与党である制度的革命党(PRI)を支持する先住民との間の対立がありました。

今日聞いた話によると、襲撃されたのは、「ラス・アベハス」という団体に所属していた人びと。「ラス・アベハス」は反政府という姿勢を持つ点で、サパティスタと同じ方向を向いてはいるものの、カトリックの基本精神からくる「非暴力」を掲げ、1994年に武装蜂起をしたサパティスタ、とも厳密には一線を画する、とのことでした。PRIを支持する武装民兵(パラミリターレス)によるこの悲惨な虐殺事件は、今もなお、この地域に住む先住民に大きな翳をおとしているのです。

マヤビニック組合は、その「ラス・アベハス」の団体から派生した生産者協同組合、ということになります。
今日、虐殺のあったミサが行われていた集会所を、再び訪ねました。ここにも、マルコスさんが案内してくれたのですが、事件に立ち会ったというわけではないけれど、
「この日の出来事は、今でもすべて鮮明に記憶している。忘れられるはずがない。」
と話していました。

一杯のおいしいコーヒーを追求することで知った「過去」は、あまりにも悲惨なもので、あってはならない事件です。しかしそれを単純に批判できぬほどに、同じ先住民の間で、
幾重にも絡み合った「緊張の糸」は、そう簡単には、解けそうもありません。
その現実を理解した上で、彼らにどう向き合うことが「正しい」のか。私の思考錯誤は続きそうです。
 
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<追記>

ここにアップした写真は、2年前、はじめて産地を訪問したときに撮影したものです。
2年前にすでにこの現場にきておきながら、このアクテアルで起きた出来事や先住民の人たちについて、これまでほとんど触れることがありませんでした。
これまでは、マヤビニックコーヒーそのものを理解することで精いっぱいで、その土地に、そこにいる人に思いを巡らせる余裕がなかったのだと言い訳と反省をしつつ、写真を振り返っています。