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【#1 / 2015】 深い闇と眩しい朝日と。 

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杉山世子の【メキシコ滞在記】

2015/02/23

【#1 / 2015】 深い闇と眩しい朝日と。 

2015年2月、今年もメキシコ滞在記始まりました。

【#1 / 2015】 深い闇と眩しい朝日と。 

バスターミナルで食べたタコス。ワカモレが美味しかった。

成田からメキシコシティまでは飛行機で11時間。
11時間と聞いても仰け反ることもない。
なぜならば、そのあと14時間のバスの旅があったからだ。

結局、私は
日本-メキシコ間よりも長いバス旅を選んだ。(前日の記事参照)飛行機のチケットを問合せることもなく。

というのも、重い荷物を抱えて、飛行機のチケットカウンターへ行き(ましてそれがどこかよくわからない)、あっちこっちと回った挙句、フライトの時間が合わないのも嫌だし、無事に飛行機に乗れたとしても、チアパス州の州都トゥクストラで結局宿探し。さらにトゥクストラからサンクリストバルはどのみちバス移動・・・などなどを考えていたら、勝手知ったるバスの旅がどれほど気楽か。

空港からTAPOというバスターミナルまでは車で10分~15分程度。よくわからないが17ドルも払った。そんなものだろうか。でも何よりも、安全そうな乗り物で、礼儀正しいドライバーだったので、その価値はあったと思う。安全第一。

バスの出発までは4時間。メキシコシティの街を散策することも考え、
地下鉄の入り口まで行ったのだが、臆病な私は、結局、ターミナルの中でじっとしていることにした。タコスを食べ、wi-hiにありつけば、やることは山ほどある。

日が暮れて、定刻になっても、それらしいバスはなく、結局45分くらい遅れて出発。
チケットを持って、「乗り逃しやしないか」とキョロキョロしている私に、たくさんの人が声を掛けてくれた。

「どこへ行くんだ?」
「チケットを見せてみろ」
「まだそのバスは到着していない」
「アナウンスがあったら教えてあげるから」
「ところであなたは日本人?」
「日本はすばらしい国だ」

などなどとまわりの人が皆、心配してくれたおかげで、私は無事にバスに乗り込むことができた。

バスに乗ったら、飛行機から読み続けてきた本を読もうと思っていたのだが、出発と同時にバスは消灯。

20:30、強制終了。

次に目覚めたときは、3:30頃。雨が降っているし、バスの速度は50キロも出ていない。どうりで14時間かかるわけだ。
一体どこを走っているのだろうか。窓の外には「とうもろこし畑」らしきものが延々に広がっている。日本は今、何時なんだろう。

そのまま5:30すぎまで眠れずにいたことだけは覚えているのだけど、その間、何をすることもなく、どのようにすごしていたのかさえも思い出せない。ただひたすら、
「豆は無事に手に入るだろうか」
「万が一のときはどうしようか」
「無事に手に入ったとしても、数は限られているけど、それはどうやって分配できるか」
「翌年はどうしようか」
というようなことに思いを巡らせていた。
深い闇の中、隣に座っているメキシコ人の男性の体が大きくこちらに傾いてくるのを、必死に左肩で攻防しながら。

次に目を覚ましたときには、
雨も上がり、朝日が昇っている。目を背けたいほどの眩しい朝日は、「なるようになるよ」といつも教えてくれる。

ちょっと疑わしいけれど、きっとなるようになる。
そして、きっとうまくいくさ、ってね。

 
* * *


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