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杉山世子の【メキシコ滞在記】

2014/08/23

【DAY29】 新しい時代を創っていくこと

研修旅行7日目~豆乃木杉山は8月下旬の2週間、産地を離れてコーヒーの研修に出かけています

【DAY29】 新しい時代を創っていくこと

昨日の記事では、ふらっと街の様子などに触れてお茶を濁したのだが、今日は100%コーヒーの話に戻ろう。そういうときは、大抵胸の躍るようなコーヒー体験をしたときに限るのだが。

滞在も一か月を残したところで、この滞在の着地点はどうやらここかな、という確信部分を得た感がある。それをFacebookではニューウェーブなどと表現してしまったのだが、第4の波は生産国から来ている。少なくとも、先日からメキシコを渡り歩く中で、それを肌で感じる。

Facebookでも取り上げたBicicleta Rojaの彼。自分で開発したスタイリッシュな赤い自転車の果肉除去機を作って、それをシンボルにしてコーヒーの販売を手掛けている。コーヒーの街、コアペテック出身だ。彼のFacebookを観ていても、彼のアプローチは“サードウェーブ然”としている。



そのサードウェーブを推し進めるスペシャルティコーヒーを象徴する言葉に「From Seed to Cup」というものがある。この言葉が、メキシコの若き生産者の中で、非常に価値のあるものとして扱われていることに気づく。ニューウェーブは、大農園が推し進めるものではなく、彼らが経営するチェーン店のカフェでもなく、マイクロファーマーが、思考錯誤しながら栽培、精製、そして焙煎したものを自らのコーヒーショップで1杯のカップによって表現するもの。

半分仮説だけど、半分確信。

すでにマヤビニック組合もカフェを展開しているのだが、こちらもやや意味合いが異なる。私の言うニューウェーブでは、組合経営ではなく、マイクロファーマーらが「仲間」と組んでカフェをやったり、焙煎技術の腕を磨いたり、カッピングをして評価し合うものだ。事実、Bicicleta Rojaの彼も、私がコアテペックで出会ったLuisと知り合いだった。

そして、おもしろいなと思ったのは、いわゆるメキシコ国内でニューウェーブを牽引する人たちには「輸出ありき」の考え方はもはやない。だから「量」は求めない。生豆をいかに売っていくか、というシナリオがないのだ。その一例として、今回のラテンアメリカコーヒーEXPOに出展し、メキシコの中では、かなり前衛的な取り組みをしているcaffepecoraのカルロス(ベラクルス州)を紹介したい。



彼のブース、そして彼自身から、いかにも美味しいコーヒーを飲ませてくれる雰囲気が醸し出ている。彼は3つのタイプの豆を試飲してほしいと言った。
そのひとつは、カツーラのハニープロセス。ハニープロセスという表現でピンと来る人もいると思うが、これはコスタリカの影響を受けているためで、パルプドナチュラルと言った方が一般的だろう。彼が数年前にこのようなコーヒーのEXPOでコスタリカ人から助言を受けて試してものだ。

<ここでちょっと確認>
コーヒー豆は、コーヒーチェリーと呼ばれる赤い果肉の中にあるのだが、その果肉除去から乾燥に至るプロセスには幾通りか方法がある。メキシコの多くはwashed。こちらは文字通り、果肉除去後にパーチメント(豆を覆う殻)の外側にあるミューシレージという粘膜質のものを水で除去うする方法。naturalは果肉をつけたまま乾燥する方法。そしてハニープロセス(パルプドナチュラル)は、果肉除去後にミューシレージを付着した状態で乾燥させることを言う。

さて、本題に戻り、彼が試して欲しいと言った3つのうちの2つは、そのミューシレージの除去割合をコントロールしたもの。ハニープロセスの言葉からも想像できるのだけれど、ミューシレージが残ることで、甘味が増すといわれているし、水資源の確保が難しい地域や、ミューシレージを除去する際に出る汚水の排水をなくせるなど、環境保全の面でも生産国で注目されている。
もうひとつは、そのコスタリカから譲り受けたという「コスタリカ95」という種類(ちょっとこの辺が言葉の問題で定かではない)の豆だと言う。他にも、現在試験的に8つの種類の違う豆と精製方法を試しているとのこと。彼は「畑は僕のラボラトリーだ」と言った。そしてその彼の言葉に私はなんだかとても驚いた。

彼はそれらの豆を育てながら、同時にどれらをどのように焙煎しようかと考えているという。深煎りは「オールドスタイル」というのが彼の考えで、基本的には浅煎りなのだが、少しずつ焙煎度合いを変えながら、風味のコントラストを意識しているとのこと。
そして彼は、輸出を第一に考えていない。なぜならば、彼の中では、焙煎と抽出もセットで、彼の「実験」の成果は出ると思っているからだ。それに輸出するほどの量はない、というのが彼の見方。
「昔は量がすべてだったけれど、それはやっぱりオールドスタイルだ。量を求めるということは、消費者を無視している証拠。僕らは品質を求めている。そして消費者のデマンドに応えたい。」
彼はそうはっきり言った。彼の実験はまだ始まったばかりだという。私は、来年、彼のいうラボラトリー(畑)に訪れることを今から楽しみでならない。

一旦冷静に考えてみると、あくまでメキシコ国内のある一部の話にすぎないのだが、彼ら生産者の本当の意味での「from seed to cup」を盛り上げつつ、我々がどのように協力し合えるかを考えていきたい、というのが、この滞在の着地点であり、10月で4年目を迎える豆乃木のスタート時点でもある。
決してトレンドを追うのではなく、生産地・生産者と共に歩む、その原点に今一度立ち返ること。そして、一歩踏み込んで、生産地・生産者とともに新しい時代を創っていくこと。

その第一歩が、マヤビニック組合に今回の滞在レポートをどのように伝えるか、ということになる。頭を悩ませつつも、それこそが、私の滞在意義になるだろう。

帰国までちょうど一か月。形が見えてきた。