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【DAY26】 全身全霊でコーヒーを愛する男との出会い in コアテペック 

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杉山世子の【メキシコ滞在記】

2014/08/20

【DAY26】 全身全霊でコーヒーを愛する男との出会い in コアテペック

研修旅行4日目~豆乃木杉山は8月下旬の2週間、産地を離れてコーヒーの研修に出かけています

【DAY26】 全身全霊でコーヒーを愛する男との出会い in コアテペック

Novo Caffé TostadoresのFBページより拝借しました

DAY25のつづきは、コーヒー一辺倒。
 
お昼ごはんでも、と思っていたのに、絶対足を踏み入れなければいけない類の店に遭遇してしまった。メキシコのカフェにありがちな壁吊りのテレビやwi-hiといった装飾&サービスは一切なし。小さなスペースの店内には、水出しコーヒーのスタンド、メキシコではまだ珍しいエアロプレス、サイフォン、そしてドリップスタンドにはHARIOのドリッパーがふたつ。温度計、さらに豆の量、そして抽出量を計測するためのスケールが用意されている(*拝借した画像参照)。
 
さっそく1杯、HARIOで淹れてもらう。彼が焙煎豆を、保管している容器から大切そうに取り出した瞬間に、妖艶で、芳醇なアロマが店内に充満した。彼は空気に触れる瞬間を惜しむように、すばやく封をしたのだが、それでもそのアロマは一瞬で私を包み込んだ。
 
正確な動作でドリップをする。すべての抽出を終える手前で軽く撹拌する。そして私の前に180ccのコーヒーが差し出された。香りを確かめるまでもなく、十分に芳しい。
ひと口すする。濁りのないクリーンカップ。青りんごのような酸。アフターテイストもまったく嫌味がなく、果実感を湛えたまますぅっと消えていく。

「おいしい!とてもきれい!!」

私の表情は緩みっぱなし。 
聞くと、豆はZongolica(ソンゴリカ)産。メキシコのカップオブエクセレンス(コーヒーの国際品評会)でBEST1に輝いた豆と同じ地域で栽培されている。コアテペックからは車で5時時間ほどの場所。ある特定の農家から買い取っているとのことで、何人かのカタドール(鑑定士)がカップ評価した際のデータも見せてもらう。

彼はバリスタでもありながら、ロースターでもあり、毎回のローストの細かいデータをアプリで管理していた。(カッピング時に使用するアプリは、私も使用しているものと同じだった。こんな小さな共通点に、いちいち喜んでしまう。)
 
店を初めて3年になるという。メキシコのバリスタ選手権で3位になったときに、この店を開くことにしたと言っていた。前述の通り、他のお店のようなサービスもなく、サンドイッチやスイーツなどがあるわけではない。あくまでコーヒーのみ。これでやっていけるのだろうかと心配になってしまう。
「ほんとにごく一握りの人は僕のコーヒーを理解してくれている」
彼は言う。
 
一時間くらい、彼とふたりきりでコーヒーの話をした。(つまり、その間お客さんはゼロ。)彼は決して英語を話せるわけではないけれど、コーヒーという共通言語で、なんとなく通じ合う。私も自分の話をする。
さすがに長居をしすぎたと思い、支払いをしようとすると、彼が提示した金額は13ペソ(100円~110円)。たったの13ペソだ。
 
「何かの間違いじゃない?」
と私。
メキシコのコンビニで飲むアメリカーノが12ペソ(100円程度)。私がこの店に訪れる前に立ち寄ったベラクルスのコーヒーチェーンで飲んだアメリカーノが18ペソ。安く見積もっても25~30パソはするだろうと思っていたのに、なんだか拍子抜けしてしまう。
なぜこの価格なのかと尋ねると、彼ははにかみながらも、でもはっきりと
「My peopleに本当においしいコーヒーを気軽に飲んでもらいたいからだ。」
と言った。
My people―コアテペックで生まれ育った彼と同じメキシコの人たちに、そして彼の店の前を道を通りすぎる人たちに、自分たちの地域のコーヒーを飲んで欲しい、という彼の気持ちが13ペソという数字に込められている。
 
この国はチップの文化があるので、私は彼への敬意をチップで表現した。あなたのコーヒーにはこれだけの価値がある。これでもまだ少ないくらいだ。
 
彼のお店はコアテペックにある。メキシコで本当に美味しいベラクルスのコーヒーを飲ませてくれる。間違いない。

Novo Caffé Tostadores
住所:en la calle 5 de Moyo #8 Coatepec, Veracruz

そうここまではDAY25のこと。
26日目は、彼から紹介してもらい、ベラクルスの州都XALAPA(ハラパ)にある、Cafecolを訪れたところから始まる。偶然なのか、必然なのか、既述したメキシコのカップオブエクセレンス2014年のTOP1に輝いたZongolica(ソンゴリカ)のEL Estolibo(日本の生豆専門商社が3年連続で購入している)を始め、コアテペックを含むベラクルスの3つの地域、4種類の豆をカッピングする機会を得たのだった。

その様子は、また明日!何かに導かれるように、毎日をコーヒー三昧で過ごしている。